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4月5日

坂の上の家

yokosuka somewhere  2

私が住んでいる最寄駅は、デカイ駅に挟まれているため、
沿線から忘れられている様な具合です。

…無くても全然いい…みたいな。

もちろん、快特も急行も停まらない。

停まらない理由は、
「ホームが短い」らしいんです。

8両編成とか、ましてや12両編成なんてのは
ホームからはみ出すらしい。

4両編成しか…。

今どき、4両編成しか停まれないホームって。

その駅から、ふらふら降りてくると立て看板がありました。

「特別公開」
昔の偉い人の公邸

地図もある。

家族の出払った日曜、一人で行ってみました。
まず、駅に行って改札横の看板を見る。

…ところが、

何なんだよ、この地図!!

右と左が逆。

つまり、左が東京なのに、左が久里浜の線路が書いてある。
あたし、こういうのが絶対に理解できない脳みそ。

仕方ないから、頭を下に向けて、見ていた。

えっと、左に行って、それでトンネルをくぐって坂道を登って
左に曲がって、右に曲がって…。

わかった。

……と、頭を戻すと、わからなくなってた。
これで、チャリンコ乗って頭ゆすったら、完全にわからなくなる。

じゃ、もっかい。

又、頭を下に向けて確認して、頭を戻して、わかんなくなる

と繰り返していると 気持ち悪くなった。

 

すると…。
駅員さんが

「あの…、そこ、行きたいんですか?」
「はい」

「あ、じゃ、これ」
紙に印刷した地図をくれました。

最初に頂戴よーー。気持ち悪くなる前に…。

とは言うものの…。

こんなんは小さい駅ならでは。

この駅は、改札と売店が一緒。
改札を通って、売店に入ると
乗り越しの清算をしてくれた駅員さんが
振り向いて、 「はい、いらっしゃい」。

私、この駅、気に入ってる。
快特、停まんなくても良い。
タクシー乗り場もバスも無くても良い。


…で、地図を貰って行った。

地図に書いてある通りにトンネルを通って
坂を登ったら、地図に無い所に出てしまった。

この地図書いた人、駄目だよ。

おじぃさんがいたので聞いてみました。

「すみません。道をお伺いしたいんですが…」
と、地図を見せると

「ここ行きたいの?」
「はい」

「なんで?」
「え?」

「なに?こんなんあんの?ここに」
「………」

「ここ、何があんの?」
「…わかりません」

「入れんの?」
「入れるって…ここに書いてあるんですけど」

「自転車で来たの?」
「はい」

「わざわざ?」
「はい。」

「その坂登って?」
「はい」

「このスゴイ風に?雨降りそうなのに?」
「はい」

「自転車こいで?」
「いえ…押して」

あたし…、このごろ、人に質問すると、
質問攻めに会う運命らしい。

質問が済むと気が済んだのか、
ようやっと、道案内。

「これが、この坂なんだろ?
そこの坂、下るとね…角が……この、ここに書いてある、お寺だから、
……そこで、また、地図見な。」

なんなんだよーー。お前、わかんねーんじゃねーの?

行ったらあった、お寺。

くたびれてお寺の角に座って休んだ。

もう、行くのやめちゃおっかなぁ…。

と思ったら、向こうから、ご婦人が一人歩いてくるので
又、地図を見せて聞いてみました。

「すみませんが、ここに行きたいんですが、
ご存知ですか?」

「桜?」
「はい?」

「桜見たいの?」
「…はぁ」

「桜見たいんでしょ?」
「……」

「だから…お花見?」
「…いえ」

「桜満開だったわよ」
「そうですか」

「あたし、今、見てきたのよ」
「そうですか」

「一人?」
「はい」

「自転車?うち近いの?あたし、電車」

…ですから、どこで見たのかを教えて頂きたいんですが。

 

「あ、ここ、まっすぐ」
「ありがとうございました」

「誰もいないわよ。だ〜〜れも…いないわよ。
だって、 知らないんだもん、公開してるって。」
「わかりました。」

着きました。

…なるほど、誰もいない。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

桜の花びらが風に舞いながら散っている様子に
「前に、ダーリンがこんな桜を見せてくれたな」と
うすらぼんやりしていると

オバサン3人組が乱入。

「あら〜〜、桜吹雪よ!!見て、見て!!綺麗よ」
「綺麗ねーー。素敵なぇ〜」
「来て良かったわよねーー」
「ホント、綺麗よねーー」



…だから、きれいだから、……黙ってて。

「桜吹雪って、遠山の金さん思い出すわねぇ」

…え?
なんで、そんなもん思い出すの?

 

「この、桜吹雪が見えねーのか」
へへーーー。

顔を見ても思い出せないもんが、
刺青見て思い出せるわけねーーって皆言ってたじゃん。

「ねぇ、ねぇ、ちょっと写真撮っていいと思う?
ここ、写真駄目?こういうところって駄目って
言われるわよねーー。いい?一枚だけいいよね?」

あたし…、さっきから、写真撮ってんじゃん、
いいんだよ、撮っても。

見てます?人の事。

…と思ったけど、


話かけられて、
「あら、お宅も、写真撮ってんの?デジカメ?ふーーん。
お宅、何年生まれ?昭和何年?」
とか聞かれて、オバサンだと思ってた人が
アタシより若かったらムカつくから
そっと逃げた。

「ほら、あのオバサンも写真撮ってるからダイジョブよ。
撮っちゃいなさいよ。 」


てめーー。

 

アタシも、友達と一緒だったら、
ぎゃーぎゃー、騒ぐかも…ってか、騒ぐな。

だから、一人。