
湘南番長(奥さんは女子大生)よりBBSでわきゆき宛に情報をいただいた。
湘南番長の仕事の一つにはカルトスポットを取材して文章にするといったこともある、つまり本職のライターさん。一方わきゆき、憎たらかわいい彼女は超マイナーな映画館や古い建物について、いやに詳しい怪しい一面を持つ。
で、そんな彼、湘南番長の推薦になんだか期待を膨らましちゃったオレはさっそく、その『クラッシック』にお邪魔してみた。
場所は駅北口からサンモールへ入って中ほど“マクドナルド”の次の路地を左に入るとすぐにわかる。入るのがためらわれるナイス装飾で、店の前に立った時点でオーラゆんゆん!勇気を出して扉を開けるとまっ暗い店内(想像してたけど)。奥をちらっと覗くと・・・あら!凝ったお店風じゃん!(暗さに目がなれてないせいか?)装飾もレイアウトも配光もただならないセンスを感じるよ。チープな作りを想像してたもんだからちょっとびっくり。しかも混んでる、繁盛繁盛。
この店は名曲喫茶(ての?)なのでクラッシック音楽のレコードのストックがやたらあり、客のリクエストに応じて曲をかけてくれるらしい。そんなわけで1階奥は素人が踏み込んでいいのかよくわかんない雰囲気だったので、(だってさ 『リクエストは何になさいますか?』なんて聞かれちゃったらどうする?『だ・だ・だ第九をお願いします』 『何年の録音になさいますか?』 えぇ?な何年?『指揮のご希望は』 な、指揮ー? 『わ・分りません・・・』集まる周囲の客の視線!店員の白い目!み、見るな!そんな目でオレを見るな!確かにオレは素人だよ!だからってそんなそんな・・・逃げてえ、今すぐここから逃げてえ 『お客様!な・に・に・な・さ・い・ま・す・かっ!!!』、ひいいーー恐いよー名曲喫茶は恐いよー。みたいなイメージってあるじゃん?普通。) 逃げるように2階に・・・行こうとして店員のお姉ちゃんに呼び止められた。『先にお飲み物をご注文ください』、はいはい、アイスコーヒーを注文するとやっと2階に逃げる。




●名曲喫茶って昔の文化と思いきや!若い子多し!
この店の雰囲気を楽しみに来てるんだろうと思う。
↑現在のママのお父さんが創業者。洋画家でもあったらしい。店内には絵が曲がって掛けられてる。
食べ物は持ち込み自由ってのが有り難い。(ゴミは当然持ち帰り)この日は崎陽軒のシュウマイ弁当を食った。 小さいテーブルはヒジが触れただけで“がっちゃーん”と引っくり返りそうな音がする。(その都度本を読んでる男に睨まれる)
ギシギシいう階段を上りきると『あ・・・めまい・・・』。部屋を見渡したとたん自分の平衡感覚がおかしくなったのを感じる、まっすぐ立っているのか不安になる。なんせ壁も梁も柱や椅子、絵画、はては手摺にいたるまで、それぞれ好き勝手な方向に向いちゃってるんだよ
ピカソ?
店内すべてが昔の前衛芸術なノリ!
で、椅子に腰掛けようとしてひっくり返った!
「メリっ!バキッ!!」
なんと、異様に座面の分厚いこのソファー風の椅子は中がコシの抜けたスプリングなんだよー!だから普通に座ろうとするとケツを踏み外すのだ!ケツを椅子から落としたオレは勢いあまってベニヤで出来た壁に体をめり込ませた、信じられん事に本当にめり込んだ!続いて頭を洋画の額縁にぶつけて変な音たてちゃったよ!店内の客注目。はずかしーー!特に写真に写ってる本を読んでいる男には睨まれちゃったよ。 同行の“けんじー”が『わーはははー』と人を見下したように笑いながら腰掛ける
『うおおーーーー!!』 バキィ!!
みろ、おめーもやってんじゃん!わはは、(また睨まれる)
座ってからあらためて見渡すと、まっこと見事な装飾だわ。昭和5年創業のココにはかつて五木寛之がよく来てたらしいけど、今のこの感じはどっちかつーと江戸川乱歩とか横溝正史、個人的には久生十蘭とかの“新青年”な作家の小説の舞台になりそうな雰囲気。鳴り止まないクラシック音楽は古いレコードらしくてちょっと入ったノイズが効果をあげてる。
室内にホコリが積もってたとか蜘蛛の巣がはってたってうわさも聞いてたけど、この日はそんなとこは見かけなくて古いけど清潔な印象を受けた。
この確信犯的(いや天然なんだろうけど)に見事な異空間は安いコーヒー代だけで覗かしてもらうのは申しわけない気分になるってば。
おすすめ!!
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↑“時空の裂け目”とも言うべき路地。左奥がサンモール。
サンモールへ戻るといきなり平成の現実社会に帰る。
